大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和30年(う)3309号 判決

被告人 山本都一

〔抄 録〕

競馬法第三十条第三号にいわゆる「利を図つた者」とは、財産上の利益を得る目的で勝馬投票類似の行為をさせた者を言い、苟くも、勝馬投票類似の行為をさせたるについて財産上の利益を得る目的があつた以上、現実に利益を得ると否とを問わず、同条同号に該当する罪の成立あるを免がれない。被告人の本件所為にかかるいわゆる呑行為が、財産上の利益を得る目的で勝馬投票類似の行為をさせた場合に該当することは、本件の記録ないしは証拠によつてまことに明白であり、右競馬法第三十条第三号に該当する所為たることは争い得べくもない。なるほど本件呑行為が、その本質において偶然の勝敗に財物を賭する刑法所定の賭博ないしは富籖発売に類する行為であることには否み得ないものがあるにしても、競馬法は、政府(但し昭和二十九年七月一日法律第二百五号による改正後は日本中央競馬会)都道府県ないしは指定市町村だけに同法所定の勝馬投票による競馬の施行を認める立前から、特に、勝馬投票類似の行為をさせた者については第三十条第三号を、その勝馬投票類似の行為をした者については第三十三条第二号をそれぞれ設けて刑法所定の賭博ないしは富籖に関する罪より重く処罰するの法意に出でたものと解すべきをもつて種々理由を展開して、本件呑行為を単なる刑法所定の賭博の罪に該当する所為たるにすぎないとして競馬法第三十条第三号の適用を排除する所論は採用できない。原審が、原判示事実を認定の上(原審判決が被告人において常に具体的に利を図つた事実を認定していないとの所論の理由のないことは、以上説述したところに照らし自から明らかである)、被告人を競馬法第三十条第三号所定の罪に問擬したことは正当である。

(三宅 河原 遠藤)

註 破棄理由は量刑不当

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!